地域農業の未来を明るくしたい

きゅうりの出荷が終わってしんみりしているたかはし農舎の髙橋洋生です。

私事ですが現在園芸用ハウスを建てています。専門的なお話になりますが現在建てているハウスは低コスト対候性ハウスという代物です。一般的なパイプハウスとは違い対候性、耐久性に優れています。今回は産地生産基盤パワーアップ事業とメガ団地等大規模園芸拠点整備事業の二本柱で事業を進めています。何だか名称だけで小難しいイメージです。先日すべての入札会を終え完成に向けて順調に進んでおり今年度中の完成を予定しております。ではなぜ通常のパイプハウスではなく軽量鉄骨ハウスを選んだのか?考えかたは人それぞれだとは思いますが僕の考えを述べます。

今回僕が建てる農地の面積は約10000㎡,田舎でよく聞く一町歩(1ha)言われている面積です。そこにたくさんのハウスが建ちます。そして野菜づくりが始まり順調に20年の月日が流れたとします。通常のパイプハウスは20年程で建て替えなければならないので、否が応でも立て替えて農業を継続するのか否か事業主は判断しなければいけません。20年後といったら僕も57歳、次の世代に農業を引き継がなければいけないような歳になります。農業は引き継ぎたい、でもパイプハウスは限界で全て解体、建て替えしなければいけない、そのためには誰かが大きな借金を背負わなければいけない、誰がやるのでしょう?誰だってたくさんの借金はしたくないでしょう。

僕が選んだ軽量鉄骨ハウスは20年後もフィルム張り替えと細かな補修のみで農業を続けられます。誰かに託す、事業承継時期になったとき、農業技術もハウスも提供できると僕は考えます。しかしデメリットもあり農業で言う短期間15年~20年の利益率、懐に入るお金を考えたら安価なパイプハウスのほうが有利だと思います。僕は自分の利益よりも地域のレガシー(遺産として世代から世代へ受け継ぐもの)を大切にしたいと思っています。

せっかくできた大規模園芸団地でも数十年後なくなるようなものではいけないと僕は思っていて、農業を受け継ぎ、社会貢献し地域の農業を牽引するような組織に成長していかなければいけないと思います。

田んぼは出来なくなっても誰かがやってくれる可能性が高い農業(第一次産業)だと言われています。一方でハウス園芸は技術の塊なので継承してもノウハウがないと途絶えてしまう農業(第一次産業)です。僕の課題は地域の農業をもっと魅力的にすること。農業は産業としては限界があると言われていますがそれは数値的な限界、生産性だけを比べたらきりがありません。僕はこれからも秋田県美郷町で魅力的で心が豊かになる農業を目指していきたいと思います。